債務整理の森

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街角相談所-法律-のHIROKEN社が非弁提携で検挙?ユーザーにはどんな影響が?

 

※記事の内容は、あくまでもニュースになっている情報から事態について書かれています。捜査が進んだ上で事実誤認である可能性もあります。

先日、ネットサイト「街角相談所―法律」を運営する「株式会社HIROKEN」が大阪地方検察庁特捜部によって捜索差押えを受けました。

容疑は「非弁」です。

実は、街角相談所は以前から「非弁問題」がささやかれていたのですが、今回はその問題が表面化したと言われています。

  • そもそも『非弁』とは何なのか?
  • 街角相談所で弁護士を紹介してもらって債務整理している人に、どんな影響が及ぶのか?
  • これから株式会社HIROKENや街角相談所はどうなるのか?

この記事では、そういった問題を取り上げ、説明したいと思います。街角法律相談所のサービスを利用した方、これから利用しようと検討している方は是非参考にしてみてください。

街角相談所-法律-とは

「街角相談所―法律」とは、ネット上で債務整理の弁護士事務所や司法書士事務所を紹介しているサイトです。

具体的には「借金減額シミュレーター」を設置していて、借金に困っているユーザーがシミュレーターを利用すると、どのくらい借金が減額されるかの予想額が表示されるようになっています。

そして、街角相談所から「債務整理を依頼できる弁護士や司法書士」が紹介される、という流れです。

これまで、借金問題に悩むユーザーが街角相談所を利用して弁護士や司法書士の紹介を受け、債務整理を行ってきた件数は数知れません。

しかし街角相談所は今回、「非弁」の疑いによって捜索差押えを受けました。
これはいったいどうしてなのでしょうか?

非弁とは

「非弁」は一般的に、あまり聞き慣れない言葉です。これは、弁護士資格のないものが、報酬目的で法律事務を行うことです。

たとえば、弁護士でない人が他人の代理人となって交渉をしたり調停や裁判を起こしたりすると、非弁行為となります。

非弁は弁護士法72条によって禁止されています。

弁護士法第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない

例を挙げると、交通事故被害者に近づいて、代わりに加害者との示談を進めて示談金の一部をもらう行為などが典型的な非弁行為にあたります。

また、自ら非弁行為を行う場合だけではなく、非弁行為をあっせんする業者も違法です。

非弁提携とは

非弁に関連して「非弁提携」という言葉があります。
非弁提携は、弁護士法27条に規定されています。

弁護士法27条
弁護士は、第72条乃至第74条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。

これは、弁護士が非弁業者に協力してはならない、という規定です。

非弁業者は、自らが非弁行為をすると弁護士法違反となって捕まるので、弁護士の名前を名乗ったり名義を借りたりして非弁行為を行うことが多いです。

勝手に弁護士名を語られた場合、名前を使われた弁護士は被害者ですから非弁提携ではなく責任は及びませんが、中には非弁業者からお金をもらって弁護士名義を貸す悪徳弁護士がいます。

そのような行為を許すと非弁行為が蔓延してしまうので、法律は非弁提携も厳しく禁止しているのです。

非弁行為の罰則

非弁行為は違法ですので、罰則も適用されます。
弁護士法77条は、非弁行為について以下の通りの罰則を定めています。

2年以下の懲役又は300万円以下の罰金刑

債務整理と非弁問題

実は、昔から借金問題では非弁行為がとても多かった経緯があります。

昔の非弁業者は借金を抱えた人に近づいてきて「借金問題を解決してあげる」と言い、報酬をもらって無資格で債権者と交渉をしたり、あるいはお金だけもらって何もせずに逃げてしまったり、提携関係にある違法な非弁提携弁護士を紹介したりしました。

これが、今はネットに置き換わっているのです。

たとえばネット上で無資格の業者が「借金問題を解決します」と宣伝していて、ユーザーが申し込んだとき、弁護士の資格のない人が勝手に債務整理を行ったら非弁に該当しますし、非弁提携弁護士を紹介したらやはり非弁です。

今回問題になった街角相談所は、まさにそのネット非弁を疑われているのです。

今回捜索を受けた法律事務所の問題点

今回、検察庁によって捜索差押えを受けたのは、HIROKENだけではなく、あゆみ共同法律事務所という弁護士事務所も対象です。

なぜ、法律事務所が捜査の対象になったのでしょうか?

あゆみ共同法律事務所は、街角相談所から借金に困っている人を紹介されて、債務整理を行っていました。

それだけで当然に違法というわけではありませんが、あゆみ共同法律事務所では、債務整理の処理をするときに弁護士が関与せず、すべて「事務員」にさせていたことが問題になっています。

先ほど説明したように、法律事務は「弁護士」が行う必要があります。事務的な作業を事務員に任せることはできますが、弁護士が関与せずにすべて事務員に任せるのは非弁です。

ところがあゆみ共同法律事務所は、すべての作業を事務員に任せていたというので、非弁の疑いで検挙されたのです。

実際のところ、あゆみ共同法律事務所で作業をしていたのは、事務員というよりも「株式会社HIROKENの従業員や関係者」であったという情報もあります。

つまり、あゆみ共同法律事務所は、街角相談所を運営するHIROKENと業務提携しており、HIROKENがあゆみ共同法律事務所の弁護士名を使ってネット上で集客をして債務整理を行い、あゆみ共同法律事務所がキックバックを受けていた、という可能性が高いのです。

こうなると、完全に典型的な非弁・非弁提携の形ですから、あゆみ共同法律事務所も株式会社HIROKENも処罰を免れないでしょう。もちろん、捜査の上事実誤認であれば問題はありませんし、そうであることを願っていますが。

街角相談所の抱える問題点

今回、街角相談所が捜索差押えを受けましたが、実はこのサイトはずいぶん以前から非弁問題がささやかれていたものです。

ユーザーも多く有名なサイトですが、いったいどのような問題があったのか、みてみましょう。

弁護士を紹介して報酬を得ている

街角相談所を利用すると、街角相談所が「最適な法律事務所、司法書士事務所」を紹介してくれます。

ユーザーが借金減額シミュレーターを利用して、住所や借金の状況などの個人情報を入力すると、サイト側で提携している弁護士事務所や司法書士事務所を選んで連絡を入れます。そして弁護士や司法書士からユーザーへ直接連絡を入れるシステムです。

このとき、ユーザー自身が弁護士や司法書士を選ぶことはありません。サイト側が専門家を選ぶのであり、選ぶ基準についても明確にはされていません。

ここで問題になるのは、街角相談所が弁護士や司法書士から「紹介料」をとっている可能性があることです。

弁護士法では非弁業者が有償であっせんをすることも禁止されているので、「街角相談所―法律―」などとあたかも弁護士が対応するかのような広告を出して、「弁護士が対応してくれる」と思って申し込んできたユーザーに対して提携弁護士を紹介すると、弁護士法に抵触する可能性があります。

弁護士事務所を抱え込んでいる疑い

それだけではなく、街角相談所は、いくつかの弁護士事務所や司法書士事務所を「抱え込んでいた」疑いももたれています。

つまり、街角相談所の職員が弁護士事務所に入り込み、実質的には支配していたということです。

具体的には街角相談所の従業員が弁護士事務所の「事務員」として債務整理を行い、弁護士自身は単に名前と事務所名を貸しているだけで何もしていない実態がありました。

こうなると、完全に非弁提携の典型となります。

今回差押えを受けたあゆみ共同法律事務所では、事務所内部で債務整理を行っていたのは「弁護士事務所に派遣された経営コンサルタント会社の社員」報道されており(読売新聞9月20日夕刊)、これはつまり株式会社HIROKENの従業員です。

また株式会社HIROKENは、あゆみ共同法律事務所の「経営コンサルタント」と報道されています。専門のコンサルタントということですので、単なるネット上のサイト運営者と登録している弁護士事務所という関係ではなかったことが明らかです。

街角相談所に対しては、以前から弁護士会も目をつけていたといわれています。

今後も問題が表面化してくる可能性

あゆみ共同法律事務所以外にも、株式会社HIROKENに抱え込まれている弁護士事務所が存在する可能性は高いです。
今回のあゆみ共同法律事務所の事例を皮切りに、同じような問題がどんどん表面化してくる可能性があります。

街角相談所―法律―と一般の検索サイトとの違い

今回、街角相談所―法律―が弁護士法違反で検挙されたわけですが、ネット上には街角相談所以外にも多数の弁護士検索サイトがあります。

たとえば、借金問題や交通事故の解決方法を調べていると、全国から弁護士事務所を探せるサイトがいくつも見つかります(この債務整理の森も、そういったサイトの1つです)。

こうした法律ポータルサイトも街角相談所のように「非弁」で弁護士法違反になることがあるのでしょうか?

結論的に、ユーザーが弁護士を選べるポータルサイトの場合、基本的には非弁になりません。
街角相談所と一般の弁護士検索サイトの違いを示します

街角相談所の場合

街角相談所が問題になったのは、以下のような事情があったからです。

弁護士事務所、司法書士事務所を抱え込んでいた

株式会社HIROKENの従業員を法律事務所や司法書士事務所に送り込み、債務整理の対応をさせていた可能性が高いことが問題です。つまり、実質的には株式会社HIROKENが集客も実際の債務整理も行っており、弁護士は完全に名前を貸していただけになっています。

弁護士事務所や司法書士事務所から紹介料をもらっていた可能性が高い

はっきりとは明らかにされていませんが、株式会社HIROKENは、弁護士事務所や司法書士事務所を紹介するとき、紹介料をもらっていた可能性が高いと考えられます。街角相談所から紹介を受けられる弁護士事務所や司法書士事務所には一定の基準がなく、なぜか遠方の事務所を紹介されることもあったという情報もあります。これは、高額な紹介料を払う事務所を優先的に紹介していたからだとも考えられます。

このように、個別の紹介料をもらって特定の弁護士事務所を紹介する行為は非弁行為です。

ユーザーが依頼する弁護士事務所を選べない

街角相談所の大きな特徴は、ユーザー自身が弁護士事務所を選べないことです。つまり、ユーザーは借金減額シミュレーターを使って紹介を申し込むだけで、紹介する弁護士事務所や司法書士事務所は株式会社HIROKEN自身が選択しています。

このように、ユーザーが選べないシステムの場合、ユーザーは「依頼してもいない弁護士事務所」を紹介されることになり、株式会社HIROKENが「あっせん」している色合いが濃くなります。また、株式会社HIROKENの恣意的な運用や紹介が可能となると、非弁行為につながりやすいといえます。

一般の検索サイトの場合

一般の検索サイトの場合には、上記のような問題はありません。

ユーザーが自分で依頼する事務所を選んでいる

検索サイトは、弁護士事務所の紹介ページが載っていたりウェブサイトがリンクされていたりするだけで、ユーザー自身が依頼したい弁護士を見つけて自ら連絡を入れます。街角相談所のように、サイト自身が弁護士事務所を紹介・あっせんしてくるわけではありません。聞いたこともない法律事務所や司法書士事務所から、いきなり電話がかかってきたりメールが届いたりすることもありません。

ポータルサイトの運営者、従業員が法律事務に関わっていない

また、ポータルサイトの運営者が弁護士事務所に入り込んで、「事務員」として債務整理などの法律事務を行うこともありません。

弁護士事務所は紹介料を受け取っていない

弁護士事務所などは運営者に広告料を払いますが、紹介料を払って個別にあっせんを依頼しているわけではありません。

そこで、一般ユーザーが「自分で弁護士事務所や司法書士事務所を探して相談を申し込むサイト」は、基本的には合法です。

街角相談所ユーザーへの影響は?

今回、街角相談所を運営している株式会社HIROKENが捜索差押えを受け、今後も捜査が継続される可能性が高いです。

そうなると、街角相談所や街角相談所を使って紹介された法律事務所に債務整理を依頼した人はいったいどうなってしまうのかが問題です。

既に債務整理を依頼している場合

既に法律事務所の紹介を受けて債務整理を進めている場合には、基本的にそのまま業務を依頼してかまいません。その法律事務所が非弁行為を行っているとは限りませんし、非弁行為を行っていないなら問題なく債務整理をしてもらえるからです。もしも非弁事務所であること判明したら、その時点で別の事務所に変えることができます。

ただ、今まで弁護士と話したことがないとか、いつも事務員が対応しているなど「怪しい」と思われる事情があるならば、HIROKENと提携していた非弁提携事務所である可能性もあるので、トラブルになる前に事務所を変えた方が良いでしょう。

これから依頼する場合

街角相談所で申込みを終えており、これから弁護士や司法書士の紹介を受けようとされている方は、いったん取りやめにして別の事務所を自分で探すことをお勧めします。

確かに、紹介される事務所が必ずしも非弁提携事務所とは限りませんが、その可能性がある以上、わざわざリスクをとる必要はないからです。

紹介された弁護士事務所などには断りを入れて、自分で別の法律事務所などを探しましょう。

これから街角相談所を利用しても良い?

これから街角相談所を利用して弁護士や司法書士の紹介を受けようとしているならば、問題が落ち着くまではやめた方が良いです。今後、株式会社HIROKENの非弁行為がどんどん明らかになってきてトラブルに巻き込まれる可能性が高いからです。

別の法律ポータルサイトを利用するか、弁護士事務所のウェブサイトを検索して、直接自分で法律事務所に申込みをしましょう。

今後株式会社HIROKENはどうなるのか?

今回、株式会社HIROKENは検察庁による捜索差押えを受けましたが、今後はどうなることが予想されるのでしょうか?

筆者自身が確かな証拠をつかんでいるわけではないので何とも言えませんが、報道などで明らかになっている内容やすでに捜索差押えが行われたという事情からすると、同社が非弁行為に関与していた疑いはかなり強いものと考えられます。

すると、今後捜査が進められて、株式会社HIROKENが正式に検挙され、代表や関係者などが起訴される可能性も出てきます。

あゆみ共同法律事務所を始めとして、提携していた弁護士事務所なども検挙されるでしょう。
そうなると、街角相談所のサイト運営は難しくなり、閉鎖されることが予想されます。

ただ、今までの非弁提携の悪徳業者の類似事例をもとに考えると、いったん検挙されてもほとぼりが冷めると別の形で非弁行為を行うものが多かったのが事実です。

HIROKENの場合も、別会社や別サイトを作ったりする可能性もあるので、注意しておくと良いでしょう。

まとめ

今回のような話があると、すでに街角相談所を利用している方は「どうしよう?」と不安になるかもしれません。しかし依頼先の事務所が非弁にかかわっていない限りは大丈夫ですので、心配しすぎる必要はありません。(ただし非弁事務所を紹介されている可能性があるので注意は必要です)

街角相談所が違法行為を行っていた(かもしれない)というニュースはショックです。借金問題を抱えている債務者を食いものにする悪徳業者は許しがたいですね。

トラブルに巻き込まれず、合法的で安心して依頼できる事務所を探すには、自分で弁護士事務所を選んで直接連絡を入れるサイトを利用するのが良いでしょう。

同じように、匿名でのサービスを希望する方は下記の司法書士法人みつ葉グループがおすすめです。

司法書士法人みつ葉グループの口コミと評判

※2019/4/19 追記
本記事の内容に記載の誤りがありましたので訂正致しました。
誤「あゆみ法律事務所」→ 正「あゆみ共同法律事務所」
「あゆみ法律事務所」と「あゆみ共同法律事務所」には関係性はございません。関係者の皆さまにご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。

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福谷陽子

元弁護士・ライター。
弁護士としての活動した約10年間のうち、7年間は独立開業して事務所の運営を行う。
実務においては債務整理案件を多数担当し、任意整理・個人再生・自己破産のみならず、過払金請求も手がける。
その経験をもとに、現在はライターとして法律関係の記事を執筆している。

■略歴
・京都大学法学部在学中、司法試験合格
・京都大学法学部卒業後、司法研修所入所
・弁護士登録・某法律事務所にて勤務
・独立し、陽花法律事務所を設立
・弁護士活動を停止し、ライターに転身

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